同窓会にて

先日、大学時代の同窓会があり参加した。出会ってから13年くらいになるから参加した人の中には、結婚していたり、子供もいたりして、当然ながらいろんな変化があった。

僕の親友のM君は息子さんふたり連れてきていて、ベーベーキューが一段落した後は、てっきり持ってきたサッカーボールなんかで遊べるものと思っていた。

が、9月とは思えぬ容赦ない陽射しと湿気、くわえてアルコールの入った体でピッチに立ってパス回しをするというのは、たとえイビチャ・オシム師に命じられたとしても、辞退したろう。不惑を超えた連中にはとてもとてもの陽気だったのだ。

子供らのじりじりとした気持ちをよそに「あちー」「だりー」といい、涼をとろうと何人かが連れ立って買ってきたかき氷をしゃくしゃく食べるのみ。さながら暑さの盛に差し入れられた氷をうれしそうに抱きかかえるホッキョクグマのよう。

M君の長男、小学校3年生のH君は密かに切れた。「ちっとも楽しかねーんだよ」という激昂ではなく、僕らと離れたところで膝を抱えて座り込んだ。大人たちは、むろんどうして彼が拗ねたのかわかっているけれど、「しゃあないやん。こんなに暑いのに。ボールなんか蹴ってられんで」をこれまた無言で彼に返していた。つまり、放っておいた。僕もそのひとりだったのだが、でもH君の小さな背中の丸まり具合がどうしても気になったので、芝生のグラウンドまで歩いていって、声をかけてみた。

「どうしたん?」
「大人はずっとしゃべっているだけだし、誰も遊ばないしおもしろくない。それに僕、かき氷はあんまり好きちゃうし」
「何やったら好きなん?」
「僕、ソフトクリームのほうが好きや」
「それならあそこに売店があったから買いに行こうよ」
「別にそんな無理に気ぃ使わんでいいよ」

気を使わなくていいと言われて、いささか一本取られたなと思いはしたももの、「いや、僕もソフトクリーム食べたいねん」
「それやったら付き合ってもいいよ」

と、ふたりでいそいそとソフトクリームを買いに。それで彼の機嫌が直るとは思わないけれど、ソフトクリームを舐めながら少しは機嫌がよくなった彼の顔を見て、こちらの期待にこたえているんだなと思って、「なに、この神経衰弱みたいなやり取り?」と子育ての難しさを思うのだった。

元いた場所に戻るとH君の弟と目があった。あ、お兄さんだけにというのもアカンなと、弟君を手招きし、また売店へ。
帰りの道すがら陽射しにソフトクリームが溶け始める。「溶けてきたぁ!」と歓声をあげる彼に「わぁ、早く食べないと溶けるね」とか「ほら、手に垂れてきたよ」と、いちいち口を挟んでしまい、ちょっと反省した。
彼には彼のペースというものがあるのに、なんでいちいちそこに逆の言葉を差し入れるのだろうと。

大人たちの涼む場所に戻ると友人らは「アイスクリームのおっちゃん、僕らにもアイスクリーム買ってよ」という。
アイスクリームちゃうわ。ソフトクリームじゃ、と言うそばでH君は「あれはひどいな。ソフトクリームのお兄さんと言うべきやろ」とポツリと漏らすのだった。

それからしばらく僕はH君とグラウンドでサッカーのパスまわしをやり、けっこうヘトヘトになった。
子供らの振る舞いは別にわがままではなく、たんに自己本位なだけで、自分の体力を使い切ることに躊躇がなくて、邪念がない。そこに僕は午後の陽射しよりも眩しい何かを感じるのだった。

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