プロフィール

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森本容子さんへのインタビュー風景( 2005年7月渋谷にて撮影/ 写真:ノザワトシアキ )

尹雄大 / Yoon Woong-Dae / ユン・ウンデ


もの書き&インタビュアー
これまでに政財界やスポーツ、研究者、芸能人、アウトローなど約1000人にインタビューを行ってきた。
その経験を活かし、2017年よりインタビューセッションや公開でのインタビューイベントなどを開催している。


1970年4月16日生まれ。牡羊座。かつて、好きな子に「百貫デブ」と言われるくらい肥満していた。ちなみにそう言われて哀しくて雨の中を走って帰ったものの太っているから速く走れなかった。いまは中肉中背。
身長170センチ、O型。


SPEC

★ 趣味
武術の稽古に読書、音楽・映画鑑賞、落語、妄想と甘いものとおしゃべり。


★ 武術
柔道を振り出しに空手、ボクシング、キックボクシング、古武術などをたしなんできた。
キックボクシングを習っていた頃、毎日ジムに通っていたためコーチに「プロにならないか」と誘われたが、「痛いから嫌です」と断る。
1999年、武術研究家の甲野善紀師範と出会い、剣豪小説のような世界が本当に存在したことに感動し、すっぱり格闘技を止める。


★ 好きな作家や本
なんども読み返すのはルネ・ドーマル『類推の山』とボリス・ヴィアン『うたかたの日々』。金子光晴やポール・ボウルズ、李箱、マンディアルグ、井出孫六、ジャック・プレヴェール、山田風太郎、鄭芝溶などが好き。残酷さと崇高さと哀歓の振れ幅のある物語に感電する質です。


★ 映画
タルコフスキー「ノスタルジア」や「ウェインズ・ワールド」、「キャプテン・スーパーマーケット」が好き。
ソクーロフやグリーナウェイ、小津安二郎を繰り返し見てしまう。小津の作品は何度見ても不気味だと思う。一時期、小津ごっこにはまり、「そうかい。そんなものかい」と繰り返し言うことに凝る。


★ 音楽
クラシックから民謡まで節操なく聴く。問答無用に射抜かれてしまう音や熱くてクドい音が好き。フィッシュマンズや七尾旅人、world’s end girlfriend、ジミ・ヘンドリクス、ルー・リード、友川カズキ、ピアソラ、J.B、登川誠仁、ダニー・ハサウェイ、岡村靖幸、ビョークなどを好む。


★ 落語
桂米朝と桂文枝が好き。米朝では「百年目」と「焼き塩」。文枝だと「口入屋」。


★ 好きなタイプ
「グロリア」におけるジーナ・ローランズのように仁王立ちの似合う人が好き。「ゆれる」の頃のオダギリジョーのエロさ加減といったらないと思う。トニー・レオンの憂いを帯びた表情は無形文化財に指定したい。

 

 


略歴

1970年4月16日、神戸に生まれる。スサノオのような荒ぶる父と明るいがときおりシヴァのようになる母のあいだに生まれる。大きいことと一番が好きな父により「雄大」と名付けられる。完全に名前負け。

幼少期p01母親の趣味で女の子の服を着させられる毎日。いまの厳つい顔からは想像できないが、小学校にあがるまで基本的に女の子と間違えられる。デパートの化粧品売場でやたらと店員さんにメイクをされる。
小学校時代p02城の石垣の魅力に憑かれる。自宅の庭で野面積みを再現する。穴太衆に憧れる。また、スケッチブックには藤堂高虎を手本にした縄張図をひたすら描く。公園の砂場で千早城を再現したりする。ガンダムにも夢中になる。
クリスマスプレゼントに引立烏帽子を所望し、母を困らせる。当時の特技は軍人勅諭と「平家物語」の敦盛の段を諳んじること。
中学時代MP5やベレッタを手にサバイバルゲームに興じる。武術に目覚め独自の稽古で拳を鍛え始める。
高校受験前日に気合いを入れるべく瓦割りを行い、見事に割るも拳が腫れ上がり、まともに鉛筆を握れない状態で試験会場に向かう。愚。
高校時代ときはバブル経済の爛熟期に差し掛かった頃だが、道元の影響もあり、世を儚み出す。「出家して坊主にでもなるしかないか」と思うようになる。青春ノイローゼの始まり。良き師を求めるも見当たらず、禅に近いのが陽明学左派と知り、哲学科のある大学を受験する。
母死去。納骨にあたり、父が遺骨の一片を口に入れる。愛について思いを致す。嗚呼。
大学時代p05格闘技サークルに入る。日本拳法部への出稽古で顎の肉をえぐられる。横浜で自衛隊と交流試合をし、ボコボコにされて帰る。
またボランティア、大学生協関連のクラブを掛け持ちする。援助活動を兼ねた調査のためタイに二度渡る。経済成長の名のもとに環境が破壊されていく現状を目の当たりにする。電気もガスもない少数民族の村にコカコーラがあることに驚愕する。

青春ノイローゼが最高潮に。休学し、2カ月ばかりインドへ旅する。地元の旅行代理店に騙され、紛争地帯に入ってしまったり、警官に身ぐるみ剥がされたり、髄膜炎で2週間入院するなど珍道中となる。  その間、日本ではバブル経済が崩壊。国際電話で「自宅が抵当に入る怖れあり」との報告を受ける。デリーの青空が沁みた。

留年したため就職氷河期第一世代に見事エントリーする。かろうじて食品メーカーに内定決まる。卒業一週間前に笑いのセンス抜群の親友に「吉本いかへんか?」と言われる。薮から棒さに驚くが、うれしく思う。
社会人
1995年
会社を3カ月で退職。テレビ製作会社で働き始める。仕事の徹夜明けにテレビを見ていたら、実家のふもとが白い煙に覆われているのを見る。阪神大震災の翌日、神戸に帰る。
被災生活から2カ月後、東京に戻るも出社日に経営状態の悪化により退職を請われる。以後、ロストジェネレーションど真ん中のバイト生活が始まる。
恋人に振られ、部屋に「報われませんでした」というポストイットのメモが残されているのを発見。そのセンスのよさに思わず爆笑するが、その夜、全身に蕁麻疹が広がる。嗚咽。
1997年p03小さな新聞社に入社する。取っ組み合いの喧嘩をして階段から転がり落ちてきたり、仕事もせずにキッチンでミートハンマーを振るい続ける上司がいるという珍妙な会社。
1年半後、会社を辞め、以降はフリーランスとして仕事を始める。始めるといっても仕事がないので、もっぱら内職に勤しむ。
武術研究家の甲野善紀師範の元で稽古を始める。身体操作に興味をもち、散策には高下駄を履くようになる。近所の子供からは「天狗だ」と囃される。
2001年p04ウェブサイト「考える高校生のためのサイト MAMMO.TV」でインタビュー開始。ぎこちない取材のあまり、現代作家の森村泰昌さんに「落語と同じで、枕が大事なのですよ」とコミュニケーションのあり方について諭される。  作家やアスリート、ミュージシャンなど様々な分野の方に話を聞いてきたが、これほどまでに話ベタな人間がインタビューを仕事とするのも妙なものだ。
『Number』や『AERA』で仕事をするようになる。桑田真澄さんの真摯さにうたれる。朝青龍の山の天気のような気分の変わり易さを目の当たりにして驚く。
2006年自ら学んでいる中国武術の韓氏意拳について書いた『FLOW 韓氏意拳の哲学』を出版。
蹴つまずき、転びそうになる生活は相変わらずで、八路軍の長征を参考にしてみようと思い始める。どこまで続く泥濘ぞ!
2007年広島と長崎で二回被爆した山口彊さんの手記をまとめるお手伝いをする。凄まじい体験をされていながらも、なお悔いなく生きようとされている姿に圧倒された。
大変な健啖家でたくさん食事を召し上がっていた。山口さんが亡くなられた日、夢枕に立った。ニコニコとした表情に安堵を覚える。
2008年泥濘生活にも慣れてきた。不景気だと世間は言っても、自分の暮らしは超低空飛行のため景気の動向と関係ないようだ。これがロングテールの法則かと誤った理解をする。
2010年「生活費を稼ぐための生活を送る」ことから決別すべきじゃないかと思い始める。太陽も空気も水もフリーだ。生の初期設定は無料だ。ボブ・ディランは言ったぜ。「犬が自由に走れるなら、どうして俺たちにそれができない?」。バックミンスター・フラーを再読し始める。
2011年twitterでの出会いから公式サイトを立ち上げることになる。つくづく縁に恵まれているなと心底思う。
2012年東京と福岡の移動生活を始める。
2013年東京を引き払い、福岡に移住。
2014年 『体の知性を取り戻す』(講談社新書)を刊行。
2022年福岡から下諏訪を経て京都に在住。いくつかの書籍を出しつつ、インタビューセッションという試みを始めている。