富田さんの映画づくりの特色は、これまでの「雲の上」「国道20号線」もそうですが、舞台は山梨で、幼馴染の友人らを主演に、しかもスタッフ一同が別の仕事をしながら撮影に取り組んだというところにあります。
そして、制作した映画は自分たちで上映会を催すなどして、劇場で多くの人に見てもらう機会をつくり出すよう努めてきたといいます。
商業ベースでは理解されないアート志向の映画だから独立独歩のつくり方をした、というより、おもしろいと思うものをつくろうと思ったら、従来の映画制作の作法に合わなかった。だったら自分たちでやればいい。
富田さんのそういう考えに感じるのは、何かに対するカウンターに甘んじない姿勢です。相手あっての行為ではなく、自分ありきで一本独鈷でやっていく。
手がけられる作品のおもしろさは、そうした制作の仕方とも関連しているんじゃないか。つまりは、生きることとつくることは不可分ではないか。そんなことを尋ねてみたいと思っています。